いつも、読んだ後には問題に答えなければならなかった。答えを出すために、さしておもしろくないものも精読した。
けれど、もうその必要は無くなった。
ただ読んで、思ったこと、考えたことを書く。読んでも書きたいと思うことが無いときは、「袖振り合う」如くすれ違うだけでよい。だが、そのうち振り返ることもあるのかもしれない。
なんと、素晴らしいことではないか。
昔話として読んだ「こぶとりじいさん」。その話が、『宇治拾遺物語』(巻1-3)にある。 同じ昔話でも、「かぐや姫」や「浦島太郎」の物語などを古文で読むと、昔話として知っているものとは微妙に違っていたりする。しかし、『宇治拾遺物語』の「鬼に 瘤 ( こぶ ) 取らるる事」のストーリーは、昔話のものとほぼ同じだ…
読書する兼好の図|絵本徒然草 祐信画鑑 上(NDLデジタルコレクション)より加工して作成 『徒然草』は、中学校でも習う作品だ。序文や猫またの話(第 89 段)などが 2 年生の教科書に見られる。また、高校では 1 年生の教科書に、再び序文といくつかの章段が載っている。だから、「何か昔やったよな」という記憶…
「虎の威を借る( 狐 ( きつね ) )」というタイトルで、高校の教科書によく載っている話がある。 だがこの話、出典の『戦国策』ではそんなタイトルは付いていない。また、「威を借る」という表現は本文中にも出てこない。 確かに、本文中の狐の行為は「威を借る」で問題は無い。しかし、あくまでも「威を借る」のは…